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春になるとぼたもちや草餅そして寒紅梅など
季節を感じさせてくれる和菓子を
食べたくなることはありませんか?
そのなかでも3月から4月にかけて日本列島を
ほんのりとピンク色に染めてゆく桜のような
美しい和菓子の桜餅はお花見には欠かせない
スイーツの1つです。
またひな祭りの際に食べる方もいらっしゃいます。
さてそんな桜餅はおしるこや善哉のように
関東地方と関西地方では全く容姿や食感が
異なるということをご存知ですか?
日本の春の定番和スイーツである桜餅の関東と関西の違いや
使用されている素材の違いそして誰でも気軽に
桜餅を楽しむことができる簡単レシピをご紹介したいと思います。
桜餅の関東風と関西風の違いとは?
桜餅は関東地方と関西地方では容姿と食感が大きく異なると言われており
今回はその違いをご説明して行きたいのですがそもそも桜餅とは
どのような経緯で誕生した和菓子なのかをご紹介したいと思います。
桜餅は1684年から1751年の江戸幕府8代将軍の
徳川吉宗行った「公園政策」によって誕生した和菓子です。
徳川吉宗公は財政の立て直しや人事制度の刷新などを
行った幕府中輿の英主として有名な方です。
彼が将軍だった時代、当時江戸の人口は100万を超え
その70%の土地を武士が所有しており神社仏閣を除いた
残り16%の土地に庶民たちが暮らしていました。
そんな密集した場所には憩いの場が一切なく
吉宗公は彼らのために江戸に住んでいる
人々の憩いの場として公園を作ったのです。
このとき公園の建設地としてあがったのが
生類憐みの令によって10万を超える犬を
収容していた大規模な犬小屋でした。
吉宗公はこの犬小屋を取り壊しそこへ桃を植えて
庶民へ開放したのですが隅田川東岸の向島を訪れた吉宗公が
ふと公園を見るととても殺風景だったため飛鳥山や
御殿山から桜を運び川の堤へ植樹するよう命じたのです。
その後、桜は美しい花を咲かせ庶民たちは
その桜の樹の下でお花見を催すようになったのです。
またこの公園の近くには木母寺や浅草などの名所もたくさんあり
通年を通して江戸庶民たちが集う憩いの場となったのです。
そんなあるとき向島長命寺の門番が吉宗公によって
植樹された桜の葉を使って塩漬けを作り餡を詰めた餅を
その葉で挟み食べていたのが「桜餅」です。
その後、桜餅は江戸銘菓となり向島長命寺の桜餅は
年間に38万個以上を売れる大ヒットスイーツとなったのです。
吉宗公が庶民のために作った公園と桜の植樹によって
誕生した桜餅はその後、全国へ広まり関東地方の桜餅を「長命寺」
関西地方の桜餅を「道明寺」と呼び今もなお大勢の日本人から
愛されている和菓子の1つとなっています。
さて関東地方発祥の桜餅ですが
なぜ関西地方と呼び名が異なるのでしょうか?
関東地方では小麦粉などで作った生地を
クレープのように薄く焼いて作った皮で
あんこをクルンと包んだものを桜餅と呼びます。
一方の関西地方では道明寺粉を使って作った皮で
あんこを包み込んだ御饅頭のような桜餅となっており
使用されている材料だけではなく容姿や食感が大きく異なるのです。
では関東地方と関西地方の桜餅の違いを
もう少し詳しくご紹介してゆきたいと思います。
関東地方の桜餅
関東地方の桜餅は長命寺のことを指しており
「関東風」や「江戸風」と呼ばれています。
桜餅は長命寺の門番を務めていた
山本新六によって誕生した和菓子です。
特徴
・葉の枚数は1枚から3枚ほど使っている。
・あんこは「こしあん」を使用。
・皮は二つ折りが主流ですが円筒状もしくは袱紗折りの場合もある。
・中身を葉で被っているもしくは皮に沿う葉で包まれている。
・小麦粉を水で延べて熱し固まった生地にタネ餡を乗せて挟み込んだものに桜の葉で包み込んでいる。
・食べる際、桜の葉を剥がしてふわりと薫る春の香りを愉しみながら食べることができる。
関東風の桜餅は関東甲信越地方を中心に東北地方・静岡県・長野県
石川県金沢市周辺・島根県東部・鳥取県西部で見かけることができます。
関西地方の桜餅
関西地方の桜餅は道明寺のことを指しており
「関西風」や「上方風」と呼ばれています。
関西地方の桜餅が道明寺と呼ばれる理由は
名前にもなっている道明寺粉を使用しているからです。
江戸で誕生した桜餅は関西地方へ伝わる間に
いつの間にか材料が小麦粉ではなく道明寺粉へと入れ替わり
このような違いが生じてしまったそうです。
特徴
・葉の枚数は1枚から2枚ほど使っている。
・お餅は玉状もしくは扁平なかたちをしている。
・弾力と粘りを持っている。
・餅の表面は粒味のあるかたちをしている。
・餅を葉の筋に沿って包むもしくは、両方から葉を合わせて被せている。
・蒸した道明寺粉で餅を作りその中にあんこを詰め込んで桜の葉で優しく包み込んでいる。
・桜の葉が剥がしにくいので餅と一緒に桜の葉も食べてしまう。
関西風の桜餅は近畿地方を中心に中部地方・北陸地方・中国地方
四国地方・山形県庄内地域・青森県津軽地域・北海道・宮城県
一部の関東甲信越地方と静岡県・秋田県・石川県金沢市の
一部地域と広範囲に広まっています。
また一部地域ではみどりの桜餅やひとひら桜餅
長八桜餅などにアレンジされたものもあります。
関西風桜餅に使用されている道明寺粉はもち米とは違うの?
関東風桜餅は小麦粉を使って作るのが定番ですが
白玉粉やもち米を加えたり上新粉を使って作ることもできます。
一方の関西風桜餅は大阪府にある道明寺にて
保存食として作られていた道明寺粉を使用して作られています。
「道明寺粉の道明寺って?」と思われる方も多いかと思います。
道明寺とはもち米を蒸して乾燥させた後に粗く挽いたもので
戦国時代の頃は「ほしいい(糒・干飯・乾飯)」と呼ばれ
ふっくらと炊き上げたごはんを天日干しにして
しっかり乾燥させて作り保存食としていました。
この糒ですが大阪府藤井寺市にある道明寺というお寺では神霊の前に
お供えしたもち米を使って糒を作っており庶民の間でとても有名でした。
また道明寺の糒は豊臣秀吉公から礼状を受けており
いつしか糒は道明寺と呼ばれるようになったのです。
その道明寺を粉々に粉砕したものが桜餅の材料となる道明寺粉であり
今では和菓子や京料理に欠かすことのできない食材の1つとなっています。
道明寺粉はとても高級であるためもち米を
道明寺粉の代用品として活用される方もいらっしゃいます。
ちなみに道明寺糒はアルファ化米に近い食べ物ではありますが
天日干しなど乾燥の仕方が緩やかなので乾燥後の糊化度が大きく異なります。
道明寺粉はもち米を水に浸し蒸して乾燥させた後に
挽いたものを指しておりもち粉はもち米を洗った後
乾燥させてから粉にしたものですので
同じ米粉に属しておりますが全く異なります。
道明寺粉やもち粉の違いなどを分かっていただいたところで
炊飯器や電子レンジで桜餅を簡単に作る方法を
ご紹介していきたいと思います。
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